はじめに
日本で働く外国人が増えているので、職場で接する機会も多くなっています。私たちの普段の話し方では、外国人に「意味が通じていないのでは?」と思うことがありますか?
外国人と話す時は、日本語をアレンジする必要があるんです。ここでは、文化庁が提案している「やさしい日本語」について取り上げます。
「やさしい日本語」ってなに?
簡単にいうと「シンプルで分かりやすい日本語」です。日本人同士で話すブロークンな日本語ではありません。小難しくて回りくどい表現を、シンプルな言い方に変えることです。
日本で生活する外国人の約6割の人たちが、英語よりも日本語で会話しています。これは公用語が英語ではないからですが、日常生活において日本語の会話にはそれほど困っていないようです。
ですが、私たちが普段話している「日本語」と、「やさしい日本語」のどちらが良いと思っているでしょう? 下のグラフからも分かりますが、外国人は「やさしい日本語」(76%)を希望しています。
外国人にとって、日本人が普段使っている「日本語」はちょっと難しいようです。聞き取りもそうですが、漢字に慣れていない国の人にとっては、読み書きもハードルが高いことでしょう。
どのように「シンプルな日本語」にするのか
文化庁が提供している資料の提案から考えてみたいと思います。
短いフレーズにする
「大きな地震」と言わず「地震」だけで良いですね。「発生するなどした場合」は「など」をいれる必要はありません。「安否の確認、見舞い、問い合わせなど」、カットできる内容はカットします。「状況が起こることがあります」は、「起こります」と短く言い切りましょう。「起こるかもしれません」と、「かも」を多用する必要もありません。
箇条書きにする
一文で長々と説明するより、箇条書きの方が見てすぐに分かりますね。
回りくどい表現をしない
「問題があるということになる」と、わざわざ難しくいう必要はありませんね。「問題がある」で十分です。「調査を実施した」と言いがちですが、「調査した」と言い切るだけで良いです。
これは外国人泣かせの表現です。「在留カード以外は必要ありません」と言うと、「では他に何を持ってくる必要があるのですか?」と聞かれるでしょう。
「出来ないことはない」という言い方も、外国人には難しい表現です。出来るのか、または出来ないのか混乱させてしまいます。ここはシンプルに「出来ます」と言い切るようにしましょう。
YESかNOをはっきりさせる
もし休日に営業をしていない(来てほしくない)なら、「休日はなるべく避けてください」と言っても外国人には通じません。外国人にとって「なるべく避ける」という表現は、「行ってもOK」と捉えられます。はっきり「土日は休日です」「平日に来てください」と言いましょう。
「結構です」「大丈夫です」などの表現は、YESにもNOにも受け取れます。日本人同士でも、こういった表現は誤解を生むことがありますね。外国人と話すときは、YESなのかNOなのかはっきりと言いましょう。
漢字にふりがなをつける
漢字の量をあまり多くしないことと、ふりがなをつけることが大事です。
行政機関で使用する単語を説明する
行政機関で使用する専門用語、会社や介護施設で使用する専門用語は、外国人には難しいことが多いです。ですが専門用語は今後も使用するので、「ふりがな」をつけたり「説明」を加えたりして覚えてもらいましょう。
例:確定申告、給与所得の源泉徴収票、国民健康保険、国民年金、厚生年金保険、雇用保険など
文化庁の「別冊やさしい日本語 書き換え例」の情報がとても役立ちますので、参考にしてみてください。
参考資料
文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
文化庁「やさしい日本語書き換え例」
まとめ
ここで取り上げた例は、ほんの一部です。外国人と話す時は、シンプルで分かりやすい日本語を話すようにしましょう。そうすればコミュケーションが上手くいき、お互いに気持ちが良いでしょう。話す速度も、少し遅めにすることをお勧めします。